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カツラの葉っぱ 大好き!

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サウジアラビアあれこれR7

<サウジアラビアあれこれR7>
図書館で「住んでみたサウジアラビア」という本を借りて読んでいるのだが・・・
砂嵐のなか、サウジアラビアの工事現場で砂にまみれて仕事に明け暮れた大使は、サウジアラビアには思い入れがあるわけです。
だけど、もう一度サウジアラビアに行けといわれたら、微妙ですね(笑)

ということで、サウジアラビアについてあれこれ集めてみました。

・『サウジアラビアを知るための63章』
・サウジの原発建設計画
・住んでみたサウジアラビア
・世界をゆるがす「イスラム国」
・王族ら1千人伴い国王来日へ
・ディープなアシール地方紹介をみっけ♪
・イスラム世界の宗教対立
・イランとサウジ
・ルブアルハリ砂漠を見る

********************************************************************
サウジアラビアあれこれ1>目次

・サウジの財政赤字の急増
・ISと米国産シェールオイル
・エネルギー株の急落
・韓国プラント企業の苦境
・イスラム原理主義
・ジッダの女たち
・不思議の国サウジアラビア
・ジェッダのインド人
・王侯の巡礼(工事中)
・地獄のサウジレポート
・アラビアのロレンス
・地図の空白地帯
・サハラ横断砂の巡礼

ラクダ2

R7:『サウジアラビアを知るための63章』を追記


<『サウジアラビアを知るための63章』>
図書館で『サウジアラビアを知るための63章』という本を、手にしたのです。
おお サウジアラビアの近況ってか・・・サウジ出張、砂漠という関係で、個人的なツボがうずくのです♪


【サウジアラビアを知るための63章】


中村覚著、明石書店、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
【目次】
1 歴史と政治/2 社会変容と伝統/3 地方の様子/4 生きる素顔/5 悠久の時間/6 経済/7 外交

<読む前の大使寸評>
おお サウジアラビアの近況ってか・・・サウジ出張、砂漠という関係で、個人的なツボがうずくのです♪

rakutenサウジアラビアを知るための63章

『サウジアラビアを知るための63章』2:外国人労働者やサウジアラビア人労働者
『サウジアラビアを知るための63章』1:アシール山地のアフリカビャクシン



<サウジの原発建設計画>
在職中にサウジに出張して以来、サウジに関しては何かと関心があるのです。
ネットに「サウジの原発建設計画」という記事がでているが・・・
オイオイ こんな危なっかしい計画があるのかよ、と驚いたのです。


2019/04/22サウジの原発建設計画は核武装につながる?より
 サウジアラビアが原子力発電所の建設計画を打ち出してから久しい。20年間で18基の原子力発電所を建設したいと発表したのは、もう8年前のことだ。それから、韓国、ロシア、フランス、中国、米国等が受注に名乗りを上げているようであるが、まだ建設には至っていない。


 米国では、トランプ政権になってから、サウジアラビアとの関係を改善しようとの動きがあり、その一環として原子力発電所建設計画も議題に上がっていたようだ。それについて、今年2月、米国議会下院は、報告書を出し、議会の承認が必要な原子力発電所の輸出をトランプ政権が勝手に推進するのは問題であるとした。

 そもそも、サウジアラビアの原子力発電所の計画の背景には何があり、それが及ぼす影響は何か。改めて、この機会に、考えてみたい。

 石油の豊富なサウジアラビアが、どうして原子力発電所の導入を検討しているのか。それは、国内の増える電力需要をまかなうのに石油を使っていると、その分だけ輸出に回せなくなり、外貨収入が減ってしまうからだ。それを防ぐために原子力発電所の建設が必要だとの説明がある。しかし、原発導入の真の動機は、石油代替エネルギー源の確保のためと考えられる。サウジアラビアには 100年分の石油資源があると言われているが、将来は基本的には石油は石油化学の原料として使用し、発電は徐々に原子力や自然エネルギーに代えていく方針と思われる。すでに、サウジアラビアには、太陽光発電所が稼働している。

 このように、サウジアラビアの原子力発電所の導入には、国内的にはそれなりの意義があるが、国際的には、様々な問題を含んでいる。

 1つは、米国議会が、ムハンマド皇太子が実権を握っている限り、サウジアラビアへの原発輸出には反対のようなので、米国から導入する可能性は低く、そうなると、ロシアから導入する可能性が高くなる。そうなれば、サウジアラビアとロシアの関係が改善されることになる。それ自体は悪いことではないが、中東における国際政治の地政学的環境が色々と変化を起こし、新たな対処が必要になってくる。

 トランプ大統領は、イランに対抗するとの観点もあり、サウジアラビアとの関係を重視しており、サウジアラビアと米国との関係は良好だが、サウジアラビアのロシアとの原発取引が成立すれば、サウジアラビアは米国との関係に如何に対処するかの問題にとり組まざるをえなくなる。

 サウジアラビアの原子力発電所導入のもう1つの問題は、核拡散の観点からの問題である。サウジアラビアが原発を導入する場合、原発だけではなく、核燃料も自国で生産することを考えているようである。すなわち、濃縮か再処理、または双方をするということである。濃縮、再処理は核兵器の製造に繋がる機微な技術である。

 ムハンマド皇太子は、もしイランが核兵器国になったら、サウジアラビアも核武装すると述べている。サウジアラビアのイランとの覇権争いから言って、十分考えられることである。サウジアラビアが核武装を目指す可能性は排除できない。

 ただ、濃縮や再処理、特に濃縮は、高度の技術を必要とし、その技術は一朝一夕に取得できるものではない。サウジアラビアが早期に濃縮、再処理の技術を取得しようとすれば、外国の支援が必要となる。サウジアラビアを支援しそうな国はパキスタンである。パキスタンは自国の核武装に際し、サウジアラビアから財政的支援を受けているので、サウジアラビアには恩義があり、サウジアラビアを支援するであろうが、サウジアラビアの核武装につながるような支援は、さすがのパキスタンでも躊躇するのではないか。

 いずれにせよ、サウジアラビアの原発導入は、核武装につながる可能性が否定できないので、単なるサウジアラビアのエネルギー問題にとどまらず、中東の安全保障に関わりかねない重要な問題と言える。




<『住んでみたサウジアラビア』>
図書館で『住んでみたサウジアラビア』という本を、手にしたのです。
かなり古い本であるが、サウジの本質は変わらないだろうということで借りたのです。
それに、サウジの女を樋口夫人がレポートしているのが興味深いのでおます。



【住んでみたサウジアラビア】


樋口健夫×樋口容視子著、サイマル出版会、1986年刊

<商品の説明>より
家族で生活した不思議の国サウジアラビア。日本では砂漠と石油しか知られていないが、家族で生活すると、ワクワクする体験が一杯あった。大きく近代化に変化するサウジアラビア、アラビア人の性格、生活はと興味は尽きない。

<読む前の大使寸評>
かなり古い本であるが、サウジの本質は変わらないだろうということで借りたのです。
それに、サウジの女を樋口夫人がレポートしているのが興味深いのでおます。

amazon住んでみたサウジアラビア



『住んでみたサウジアラビア』5:アラブの商人
『住んでみたサウジアラビア』4:サウジの女性事情
『住んでみたサウジアラビア』3:サウジの水事情
『住んでみたサウジアラビア』2:砂漠の気候
『住んでみたサウジアラビア』1:すばらしい砂漠



<世界をゆるがす「イスラム国」>
『日本でテロが起きる日』という本から、『世界をゆるがす「イスラム国」』あたりを見てみましょう。

p145~156
■イスラム教早分かり
 イスラム教にはスンニ派とシーア派があります。スンニ派が主流派です。今、問題となっているテロはこの主流派のテロです。
(中略) 
 そのスンニ派は四つの法学派に分かれています。
 1番目はハナフィー法学派、これはトルコで強いです。
 2番目はシャーフィイー法学派、これはインドネシアで強いです。
 3番目、マーリキ法学派、これはエジプト、チュニジア、モロッコ、マグレブ諸国です。

 4番目はハンバリー法学派というのがあります。過激派の95%以上はここから出ています。
 これは原理主義そのもの。世の中の全てのことはコーランとハディース(ムハンマド伝承集)という本の中に書いてある。それさえ読めば、世の中のことは全て分かるし、その指示は出ているという考え方をします。ハディースというのは、伝承のことですから、ある人がこの話をその前の人から聞いて、その前の人はさらにその前の人から話を聞いてというふうにして、最後、「…とムハンマドが言った」という、ムハンマドの発言の前に、たくさん前提がついているもので、それで、確かに預言者がこう言ったという、預言者の言行録です。
(中略)

 だから、「世の中が一番正しかったのは6世紀だ。ムハンマドが現れたあの時期が一番いい時期だ」、こういうことになるんですね。時代を経れば経るほど、人類は退化していくという思想です。

■ワッハーブ派のサウジアラビア 
 このハンバリー法学派の下降史観に基いて「ムハンマドがいたころの時代を取り返せ」というハンバリー法学派の一派にワッハーブ派というグループがあります。
 
 このワッハーブ派はサウジアラビアの国教です。「サウジアラビア」は「サウード家のアラビア」という意味です。
 サウジアラビアは原理主義国家です。サウジアラビアは「6世紀の当時に世界を変える(戻す)」という目的を持っています。

 「そんなこと言うけど、佐藤さん、サウジの連中の生活を見ていて、原理主義的に厳しいとか、6世紀に戻るという雰囲気は感じられない」という話を聞きます。
 私も英国の軍の学校でロシア語の研修を受けたのですが、そこにサウジの連中が来ていました。彼らはウィスキーをラッパ飲みして、よくベロベロに酔っぱらっていました。

 「酒を飲んではいけない」とコーランに書いてあります。ところが、それは問題ないと彼らは言うんですよね。どうしてか。

 「コーランで禁止されているのはブドウで作ったアルコール飲料だ。ウィスキーはブドウで作ってないだろう」、こういう話なんです。
(中略)

■米軍は「ボディーガード」 
 さらに、第1次湾岸戦争の時に、サウジアラビアの中にあるメッカとメディナの防衛のために、米軍を入れているんです。これをサウジアラビアの人たちはどうやって説明するのか…。

 米国はキリスト教徒やユダヤ教徒である。つまり、イスラム教と同じ神を信じているから、あえて、連中を「ボディーガード」として雇っている、こういう理屈です。

 こういったことに対してウサマ・ビンラディンはアフガニスタンの洞穴の前で言うわけです。「今のサウジの王朝はウソをついている。こいつらは売春や買春をして、酒を飲んで堕落し、屁理屈をつけてアラビア半島をアメリカの植民地にしている。石油のカネだけで自分たちは安逸な生活をしている。こんな者どもは本当のイスラム教徒えはない。叩きつぶせ!」

 そういうふうに言われると、ハンバリー法学派の人たちの大多数がビンラディンの言う通りだと思うわけです。だから、「イスラム国」には、サウジアラビアの連中が結構カンパしてるんですよ。「頑張れよ。おれたちの本当の考えはお前たちに近いんだ」と。

 サウジアラビアとアルカイダや「イスラム国」は虹のスペクトルのようなものです。色は違うけれども、どこから変わっていくのかよく分からない



【日本でテロが起きる日】
日本

佐藤優著、時事通信社、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
国際情勢が分からないのは、読み解くために必要な文化・歴史・宗教の「見えない膜」がニュースの裏側にあるからだ。「あれはイスラムだからしょうがない」「ロシアだからよく分からない」…分かるものしか理解しようとしないのでは重要なことを見失う。すべて話した!会員制講演を集大成。

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると…
元外務省官僚である佐藤さんが素晴らしいインテリジェンスを披露しています♪


amazon日本でテロが起きる日




<王族ら1千人伴い国王来日へ>
46年ぶりに、サウジ国王来日とのことで…タクシー、ホテルなど受入れ準備に追われているようです。
アメリカがシェールオイルを増産するなか、脱石油を狙うサウジのトップセールスのようですね。

2017年03月09日高級ホテル「サウジ特需」 王族ら1千人伴い国王来日へより
 世界最大級の石油産出量を誇るサウジアラビアの国王が12日、約半世紀ぶりに日本を訪れる。中東の産油国の首長の外遊は豪勢なことで知られ、今回も1千人を超える王族や企業幹部らが同行。東京都内の高級ホテルの客室は予約で埋まり、移動のための高級ハイヤーが多数確保されるなど、ちょっとした「サウジ特需」になっている。

 来日するのは、サルマン国王(81)。15日まで滞在し、安倍晋三首相とも13日に会談する予定だ。

 5日の東京・羽田空港。チャーター機から、エスカレーター式の特製タラップが降ろされた。関係者によると、高齢のサルマン国王が日本到着時にスムーズに飛行機から降りられるよう、サウジ政府が手配して運んだものという。

 今回の国王来日は、1971年5月のファイサル国王以来、46年ぶり。王子と閣僚それぞれ10人前後に加え、王族や企業幹部らも随行。その数は1千人を超えるとみられるが、日本政府も正確な人数は把握できていない。

 日本政府関係者によると、昨年9月に国王の七男ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(31)が来日した際は、約500人が13機の飛行機に分乗。約200台の車両が確保された。今回は、その倍の規模が予想されている。

 国王は日本訪問を前に、インドネシアを訪問中。計1500人が同行し、高級リムジン2台など460トン分の荷物が持ち込まれ、現地でも720台の高級車が400億ルピア(約3億4千万円)で手配されたという。

 東京でも高級ホテルの客室1200室が押さえられたほか、ベンツやBMW、レクサスなどの高級車約400台が確保済み。ハイヤー業界関係者は「高級車種は維持費が高く常にニーズがあるわけではない。都内だけでは確保できないので神奈川や埼玉、東海地方からも集めている」と話す。

 迎える安倍首相も、大訪問団に興味津々の様子だ。8日夜の与党議員らとの会食で「すごいよな、1千人って。どこかのデパートに行くとそのデパートはいいだろうな」などと話したという。中国人観光客の「爆買い」失速にあえぐ大手デパート関係者は「来日の情報は入っていなかったが、ぜひ来てほしい」と期待を寄せる。

 サウジは産油国の多いアラブ諸国でも最大の経済規模だ。ただ長引く原油安で財政は悪化しており、昨春には2030年に向けた国内経済の改革方針「ビジョン2030」を策定。石油に代わる産業として、製造業やサービス業の成長を目指している。

 両国首脳は会談で「日・サウジ・ビジョン2030」を打ち出す方針。海水の淡水化や太陽光発電など、両国間の具体的な協力事業数十件を盛り込む。日本側も改革を後押ししながら、企業のビジネスチャンス拡大をねらう。(下司佳代子)




<ディープなアシール地方紹介をみっけ♪>
ネットでアシール地方のビャクシンを探していたら、ディープなアシール地方紹介サイトにぶち当たったのです♪
日本・サウジアラビア産業協力タスクフォースというNPOサイトのなかに「サウジアラビア紹介シリーズ:高橋俊二」というのがあって・・・
大使にとって思い出深いアブハーから紅海までの断崖ルートを紹介していたのです。


花冠とスカート姿の男達が住むアシール(Asir)への訪問より
地図

 私が最初にこの地方を訪問したのは1987年の冬であった。その時は写真でサウジアラビアにも川が流れ、山がある地方を知り興味を持って居たところを親しい先輩から誘われて出掛けた。纏まった休暇さえ有ればこの禁酒国から抜け出し酒を飲む事ばかりを考えていた私に取っては職場のあるカフジ(Al-Khafji)から2,000 キロ以上も離れたアシール(Asir)まで行く等、思いも寄らなかったのでかなり珍しい旅行であった。

 当時は外国人居留者の移動は厳しく制限されて居た上に、地図も無く、アブハー(Abha)とナジュラーン(Najran)間には武器・麻薬の密輸取締の為に4 キロ毎に検問所があり、秘密警察の密偵が至る所で目を光らせて居た。それでもナジュラーンまで往復し、ナジュラーン渓谷に広がる大規模なナツメヤシ園や岩山に残るローマ軍の遺跡を見学した。又、アブハーから洪水跡の生々しい谷道を下ってジーザーン(Jizan)のハヤット(Hyatt)ホテルまで足を延ばして紅海の魚を食べに行ったりもした。

 その後、第一次湾岸戦争を経験し、その戦災の後始末をして1992年に帰任し、再びサウジアラビアに赴任したのは沙漠緑化事業の為で1997年の初めであった。その年の4月に沙漠偵察で、更に9月に一年先輩のご夫婦を案内してこの地方を訪れてから1998年4月、2000年12月、2002年2月、2003年2月と2003年7月末に帰任するまでに都合8回もこの地方を訪れて居り、一番親しみを感じると共に訪れる度にその変化の多様さの中に新たな発見をしている。この地方との触れあいがあった事で沙漠の植生、土質のみでは無く、地勢、地質、動物、考古学、歴史、民族、伝統等広い分野に渡って私はサウジアラビアに対して私は興味を持つ様に成った。

ビャクシンAl Soudahの空中Cableから見たビャクシンの森




<イスラム世界の宗教対立>
イスラム世界の宗教対立について、ネット情報を見てみましょう。


2016/05/26 蒸し返される9.11関与疑惑 米・サウジ関係窮地により
 サウジのワッハーブ主義のイスラムは、1950年代にはイスラム世界の1~2%でしか信奉されなかった。それが石油ブームの到来で、サウジがワッハーブ主義をイスラム世界全体に広めた。それに伴い、イスラムの自由で多元的な解釈が消滅し、不毛で不寛容な解釈にとって代わられた。1980年代にアフガニスタンにおけるソ連との戦いが宗教色を帯びるにつれ、聖戦の原理が広まった。多くの場合、イスラム原理主義はイスラムテロとなった。

■イスラム過激派との対立恐れるサウジ
 「9.11」以降、サウジは方針を変え、イスラム過激運動に対するサウジ政府の援助をやめた。David Petraeus元イラク駐留米軍司令官によれば、彼の司令官時代の最も重要な戦略的転換は、サウジが聖戦グループの暗黙の支持者から積極的な敵になったことであった。しかしパキスタン、インドネシアなどのイスラム過激派に対するサウジの支援は終わっていない。

 サウジ政府は反動を恐れてイスラム過激派と対決したがらない。現在サウジのソーシャルメディアで最も人気があるのはワッハーブの説教者や過激派の理論家で、彼らはイランとの闘争の一部として、反シーア派の教義を広めている。

 基本的なジレンマは、もしサウジ王室が倒れれば、とって代わるのはリベラルや民主主義者ではなく、イスラム主義者、反動主義者である可能性が高いことである。イラク、エジプト、リビア、シリアを見てきた経験から、防衛、石油、金融で安定した同盟国サウジを不安定化させるわけにはいかない。

 サウジ王政は自らとイデオロギーの輸出を見直し、改革しなければならない。米国は、サウジを孤立させ苦しめるより、サウジに関与した方がサウジは改革をしやすい。米国はサウジに対し道義上の勝利を得ようとするのではなく、サウジの抱える諸困難を受け入れるべきである。




<イランとサウジ>
 田所昌幸・慶大教授がオピニオン欄で「日本は安定に向け支援を」と説いているので、紹介します。
事態悪化の根は古くて深く、第一次大戦の戦後処置あたりに諸悪の根源があったようです。

田所
(田所さんのオピニオンを3/4デジタル朝日から転記しました)


 中東の大国、イランとサウジアラビアの断交が続いている。その対立は、単なる二国間のいがみ合いにとどまらない。地域を取り巻く歴史的な背景や、この事態から見えてくる世界情勢の力学を、2人の識者に読み解いてもらった。

■日本は安定に向け支援を 田所昌幸さん(慶応大学教授)
 イランとサウジの対立の背景には、シーア派とスンニ派というイスラム教内部の宗派対立に加えて、地政学的要因、原油価格を巡る軋轢、それにペルシャとアラブという互いの文明論的な違和感も作用していると思います。

 イランにはペルシャ文明の本家だという自負があり、実際に人口も多く、選挙に基づく安定した政権基盤もあります。また、サウジの立場から見れば、イラク、シリア、イエメンといった国々でシーア派勢力が権力を握ると、イランによって包囲されたようになってしまう。とりわけイエメンが親イラン政権になれば、紅海の出口の安全が脅かされて、原油の積み出しにも影響が出かねないので、脅威を感じるのでしょう。

 原油については、増産で価格を引き下げているサウジの姿勢は、本格的に原油輸出を増やそうとしているイランにとって、これからという時にけんかを売られているように見えるのでしょう。

■脆弱な権力基盤
 両者の対立は、「アラブの春」以降の中東の不安定化によって激化しました。東アジアでは国家による領域の実効支配が確立しているので、日本人には想像しにくいのですが、アラブ世界では主権国家の権力基盤は脆弱です。「アラブの春」をきっかけに、弱かった政権がばたばたと倒れ、宗教的連帯や地縁・血縁に基づく集団が割拠して内戦が始まり、「権力の真空」が生まれました。イランもサウジも、それを自分に都合のいい勢力で埋めようとし、勢力争いが起こっているのです。

 現状では、サウジの方が孤立感が強いと思います。核開発問題をめぐって欧米各国がイランと合意し、制裁解除に動いた。サウジからすれば、長く米国と同盟を組んできたのに、裏切られたという思いでしょう。ただ、対立激化を懸念する声もありますが、これまでのところ事態は制御されているようで、両国とも対立をエスカレートさせるのは得策ではないと考えているのだと思います。

 事態悪化の原因は米国の中東政策の失敗にあるという指摘もありますが、私はそれよりも根が深いと思います。中東では第1次世界大戦でオスマン帝国が崩壊して以来、100年にわたってずっと秩序再建に苦闘し続けているというのが実態ではないでしょうか。

 国境を画定し、主権国家の秩序を打ち立てるのは簡単ではありません。過激派組織「イスラム国」(IS)の問題も、主権国家を確立することができていないことの一つの表れでしょう。事態が急激に改善することは望み薄です。

 両国間の断交直後に、中国の習近平国家主席がこの地域を訪れました。これを機に地域への影響力を強める狙いがあると見られますが、中国は国内のイスラム教徒との問題を抱えており、浸透はそう簡単ではないと思います。

■中東に原油依存
 米国は今後、シェールガスの開発による「シェール革命」で中東の原油への依存度が下がっていくと思いますが、日本が中東に原油の8割以上を頼っていることは忘れられています。イランやサウジ、イエメンの情勢は、日本と無関係ではないのです。

 いま、日本が中東で直接に果たしうる役割はそう多くないと思いますが、イランともサウジとも敵対してきた歴史はありません。米国とイランは今回の核合意で関係を改善しましたが、相互不信は簡単にはなくならない。米国とイランの関係をさらに安定させるために、日本はサウジの顔も立てるような形で協力すべきです。また、露骨な政治色のない民生支援を通じて、中東の安定に資する努力を続けるべきだと思います。

 同時に日本は、原油価格が低迷している今の時期にこそ、創造的なエネルギー政策で中東への依存を引き下げる方策に取り組むべきでしょう。それは安全保障上、必要なことでもあり、新たな産業や経済成長に結びつく可能性もあります。(聞き手・池田伸壹)

    *
田所昌幸:1956年生まれ。国際政治を多面的に研究。防衛大教授などを経て現職。著書に「『アメリカ』を超えたドル」「国際政治経済学」など。


イランとサウジ田所昌幸2016.3.4



<ルブアルハリ砂漠を見る>
ルブアルハリ砂漠をグーグル・アースで探査したブログを見つけたのです。
グーグル・アースでここまで、できることに驚いたのです。


私の世界・知らない世界―失われた都市ウバル(Ubar)を探査!?より
【ルブアルハリ砂漠】
砂漠

 アラビア半島南部の3分の1を占める世界最大級の砂砂漠。サウジアラビア南部、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメンの4カ国に広がる。アラビア語では、アッ=ルブア=ル=ハーリーと呼ばれ、英語では「空虚な4分の1(一角)」(the Empty Quarter) と訳されたが、何も無い所というのが本来の意味に近い。ルブアルハリは、長さ1000キロメートル(600マイル)、幅500キロメートル(300マイル)。最近まで大部分が探検されていなかった。

 ベドウィンでさえ、その辺縁を移動するにすぎない。にもかかわらず、この砂漠へGPSを装備したツアーを提供する旅行会社は存在する。1931年にバートラム・トマス(Bertram Thomas)が、史料に残る最初の西洋人としてこの砂漠を横断した。

 夏の気温は、夜は氷点下、正午には摂氏55度に達する。エッフェル塔 (324m) より高い砂丘もある。ルブアルハリは、地球上で最も近寄りにくい環境の一つともいわれる。しかしながら、この砂漠には生命が繁殖している。いたるところにクモ類、げっ歯類、植物を見出すことができる。NGO 世界自然保護基金 (WWF) の生態系区分「エコリージョン」(ecoregion)では、かつては「アラビア砂漠および東サヘロ=アラビア乾燥低木地に、現在は「アラビア高地疎林と低木林」に区分されている。

 砂漠化は、この1000年間に進行した。3世紀頃までは乳香交易のキャラバンがこの地を横断していたが、砂漠化がこの地をキャラバン交易路が横切るのを困難にした、現在では不毛の荒地が広がっている。失われた都市ウバル (Ubar) もこのような交易に依存していた。その後はナジラン地域のような部落がいくつかあり、水源や石油基地と結ぶ道路も何本か存在した。砂漠の周囲は世界で最も石油に富んだ地域で、とくにサウジアラビアでは巨大な埋蔵量が見つかっている。ガワール油田は砂漠北部から南方に伸びる世界最大の油田で主要アラブ軽質油を産出する。シェイバ油田はUAE近くに位置する。(=ウィキペディア)


サウジアラビアへのいざない


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